SSブログ

甲斐駒ケ岳 黒戸尾根 (2013年10月) [百名山]

13.10.17.1.jpg
いつ頃からだろう。 「黒戸尾根で甲斐駒ケ岳に登ってみたい」 そう思うようになったのは・・・

【甲斐駒ケ岳 黒戸尾根】
かつての甲斐駒ケ岳への表登山道。 いにしえより修験道としても登り続けられている道。
北杜市白州町の2つの登山口(竹宇、横手、両駒ケ岳神社)から単純標高差約2,200メートル。
日本三大急登のひとつとしても知られる。(もうふたつは烏帽子岳へのブナ立尾根、谷川岳への西黒尾根)

「日本アルプスで一番つらい登りは、この甲斐駒ヶ岳の表参道かもしれない。」 深田久弥氏

「甲斐駒の表登山道として、この黒戸尾根を登って頂上に立ったということが、まず南アルプス登山を立派に成し遂げたことにも通ずるのだ。」 白旗史朗氏






………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


10月17日(木)    晴れ のち ガス

道の駅はくしゅう ~ 竹宇駒ヶ岳神社登山口 ~ 笹ノ平 ~ 刀利天狗 ~ 五合目 ~ 七丈小屋(泊)

車の外へ出ると、空には満天の星が瞬いていた。
ヘッドライトを装着し、まだ暗い車道を登山口に向けて黙々と歩き始める。
漆黒の空はブルーインクを少しずつ薄めていったような色に変化し、星の煌めきは淡い色のなかに消えていった。
星が消えると、それまで影絵のようなシルエットだった山並みが色をつけて現れ始める。
わたしたちの目指す山の頂もくっきりと見え始めた。 
「遠いなぁ・・・」 山頂付近が少し白く見える。 雪が積もっているのかもしれない。

道の駅から1時間、竹宇駒ヶ岳神社登山口に到着。 
ほとんどの人は2つあるどちらかの登山口に車を置いて日帰りまたは1泊して山頂を往復する。
なぜ登山口に車を置かず、標高も200メートル低い道の駅からわざわざここまで歩いたのか・・・
黒戸尾根、たとえ登ることはできたとしても、とてもこの尾根を無事下りきる自信のない私達。
初日は七丈小屋で1泊。翌朝駒ヶ岳登頂後北沢峠方面へ下り、バスと電車を乗り継いで車を停めた道の駅へと戻る。
下り不得手のヘタレ夫婦は黒戸尾根を下らないためのプランを立てたのでした。
(このプランだと黒戸尾根は下りませんが、歩き始めから山頂までの単純標高差は約2400メートルになります ^^;)









13.10.17.2.jpg
いざ、甲斐駒ケ岳へ向けて出発です!

まず登山口手前にある 「竹宇駒ヶ岳神社」 にお参り。 『つたない私達をどうぞお導きくださいませ・・・』







13.10.17.3.jpg
歩き始めてしばらくは広葉樹の森が続きます。







13.10.17.4.jpg
笹ノ平分岐

登山口から2時間、道の駅から歩き始めて3時間の地点に現れるこの道標。
「7時間・・・ アハハハ・・・・・・」 この数字にはもう笑うしかないかんじ。 道標にスポツトライト当たってるし ^^;
(私達、初日は七丈小屋までなので5時間あればなんとか小屋に着きそうかな)






13.10.17.5.jpg
標高を上げるにつれ、少しずつ針葉樹が増えてきました。



13.10.17.7.jpg
森の香りに癒されながら登ります♪

笹ノ平分岐を過ぎたあたりですごい勢いで下ってくる男性が。 七丈小屋の小屋番さんです。

「小屋泊りですか? 帰り遅くなるんで食事は用意できないから。」

「はい、分かりました。」

七丈小屋は事前予約できない山小屋です。
小屋番さん、今から下山していろいろなものを担いで、また夕方までに登り返してこられるのでしょう。
ここの食事は美味しそうで楽しみにしていたのだけど、仕方ありません。
翌日の昼食分とオヤツでなんとか食いつなげそう。 予定通り登り続けます。
※小屋でもカップラーメン等販売しているようです。









13.10.17.8.jpg
ここが有名な 「刃渡り」 



13.10.17.9.jpg
足場もしっかり。 鎖もあるので私でも怖くありませんでしたよ ^^v







13.10.17.11.jpg
刀利天狗



13.10.17.12.jpg
たくさんの石碑とともに祠がありました。  『この先もどうかお見守りくださいませ・・・』



13.10.17.13.jpg
ルリビタキの先達さん。 それとも刀利天狗さまの化身?










13.10.17.14.jpg

五合目小屋跡までは苦労して登った標高を一旦下ります。 ここでランチ休憩。 
ここまでくれば七丈小屋まではあと1時間ほどです。
予定よりも早く小屋に着けそうなので、のんびりと1時間近く休憩していると男性が登ってきました。 
この日同宿となる糸魚川のおじさまです♪

「こんにちは~ 小屋泊り? 小屋番さんに会った? 食事できないってね。 小屋まであとどれくらいか分かる?」

『はい~ 食事のことは聞きました。 小屋まではCTであと1時間ちょっとですね。』

「ありがとう。 じゃ、先に行ってるよ。」

おじさま、風のようにスイスイ行かれます。 早っ!!

このあと七丈小屋まで怒涛の梯子&鎖攻撃が始まります・・・









13.10.17.15.jpg
梯子・・・





13.10.17.16.jpg
板の隙間から下が見える橋。 渡り終わったらまた梯子・・・





13.10.17.17.jpg
う~~ん、どこで撮ったんだかよく覚えていない・・・





13.10.17.18.jpg
1日目で一番怖かったトラバースポイント・・・ ToT

怖さが全く伝わらない画像ですが、ここ高所恐怖症にとってはめっちゃ怖いんです。
画像の向かって左側と奥は切れ落ちてます。 踏み外したらおそらくこの世とお別れかな・・・
ルート上一番傾斜のある垂直梯子を登り終わったろころで現れるこのトラバース。
写っているピンと鎖が頼りです。 今見返していても怖い(><)

しばらく進むと朝すごい勢いで私達を追い越していった日帰り組の二人の男性が下ってこられました。

「すみませ~ん この先まだ梯子ありますかぁ~~(泣) ToT」

『七丈小屋まではあと1か所かな。 小屋、もうすぐそこですよ!』

「ありがとうございますぅ~ もう山頂まで行かれたんですよねぇ~ すごいですねぇ~ 早いですねぇ~~」






13.10.17.19.jpg
七丈小屋到着♪ 糸魚川のおじさまがストーブを点けて小屋を温めておいてくれました ヽ(^o^)丿

この日の小屋泊りは糸魚川のおじさま、八ヶ岳がホームのソロの女性、私達夫婦の4人。
ソロの女性は途中まで同じペースで登っていたのですが、私達がちんたらしている間に山頂まで往復されて夕方小屋に戻ってこられました。
一歩ずつ確実にしっかり登られるタイプの方。 黒戸尾根は今回で3回目だそう。 
女性一人で黒戸尾根に来られる方はやはり只者ではありませぬ。
8合目を過ぎると雪が残っていること、昼間でも北側の岩場が凍りついていたので朝は注意したほうがいいこと。
登山道の詳細を詳しく教えてくださいました。

糸魚川のおじさまが終始私達を笑わせてくださいます。

「俺さ~ なんか余計な一言が多くていつも山で怒られるんだよね。 南アの奥地の山小屋で ”乾燥室どこですか?” 聞いたら   『ここは北じゃないんだ~~!!』 怒鳴られちゃってさぁ~」

一同 爆、爆、!! 

「だから今日も小屋番さんから ”食事ない” って聞いたときも 『分かりました。気を付けて。』 余計なこと何も言わなかったよ。」

再び 爆、爆、爆!!!

19時過ぎには皆眠りにつきました。






………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

10月18日(金)    くもり 時々 晴れ

七丈小屋 ~ 甲斐駒ケ岳 ~ 駒ツ峰 ~ 双児山 ~ 北沢峠 (その後バス、電車を乗り継いて道の駅はくしゅうへ戻る)


午前5時、4人ともほぼ同じ時間に起床。
ソロの女性は前日すでに山頂まで行かれているのでこのまま黒戸尾根を下られるそう。
糸魚川のおじさまと私達は山頂に向かいます。
おじさまは駒ケ岳に登ったあと、この日は下の仙水小屋に泊まられ、翌日にまた黒戸尾根から下る予定とか・・・(*_*)
「ありがとうございました。 気を付けて。」 ソロの女性とはここでお別れです。

13.10.17.21.jpg
やはりここは神の領域なのかもしれない・・・





13.10.17.20.jpg
先人たちも同じように感じながらこの尾根を登っていたのでしょうか。










13.10.17.22.jpg
岩場が凍りつき始めました。

8合目で糸魚川のおじさまが私達に追いつきました。
私達の先を行くおじさま 「鎖場のステップが凍ってるよ~!」  「この辺り足場がヤバイから気を付けてきて!!」 
ポイント、ポイントで上から声をかけてくれてとてもありがたい。
そうそう、糸魚川のおじさまも高い所は不得意だそう。 でも恐怖ポイントが私とは微妙に違うみたいで(笑)
(1日目の恐怖ポイントはおんなじでした。)
※おじさま、百名山残すところあと10前後だそう。 「早月尾根は大丈夫だよ」 お勧めされましたが・・・ 行かないです・・・






13.10.17.23.jpg
有名な大刀





13.10.17.24.jpg

CARRERA隊長の写真で拝見していたアングルにはどうしてもならない・・・
隊長、足元にある1メートルくらいの岩の上に立って撮ったな・・・ (足場悪し・・・ もちろん私にゃできませぬ ^^;)






13.10.17.25.jpg
岩も主張しています!







13.10.17.26.jpg
八ヶ岳方面







13.10.17.27.jpg
鳳凰三山と富士山







13.10.17.28.jpg
2日目、凍りついた岩場と鎖場はそれはそれは怖ろしく写真を撮る余裕全くありませんでした。 (ここは登山道じゃないよ^^;)







13.10.17.29.jpg
山頂まであと少し・・・







13.10.17.30.jpg







13.10.17.31.jpg
北沢峠からの登山道と合流した付近










13.10.17.32.jpg
甲斐駒ケ岳山頂~~ 着きましたぁ~~~ ToT

『無事に登らせていただき、ありがとうございました・・・』 山の神様にお礼をします。
風もなく穏やかな朝の山頂は糸魚川のおじさまとよしころん夫婦、三人の貸切 ヽ(^o^)丿
北アルプス、白馬、白山、妙高方面まで綺麗に見えています♪  どの山も白く雪化粧、すっかり冬山の装いでした。






13.10.17.33.jpg
仙丈ケ岳方面

「その山、分かんね~んだけど。」 おじさま

『仙丈ですよ~! 登ったでしょ~~』 (笑) よしころん

「あぁ~! そうか!!」 (笑) おじさま






13.10.17.34.jpg
八ヶ岳方面







13.10.17.36.jpg
来年は鳳凰三山にも行きたいな♪







13.10.17.35.jpg
甲斐駒ケ岳 黒戸尾根、厳しくも本当に素晴らしい道でした。

私は 「登りだけならまた登ってもいいかな~」 と思っていますが、パートナーは 「2度と登らない!!」 意見が割れております ^^;
しかし下らないとなると、やはり車の回収がめんどうだし、今回の方法だと時間もお金もかかってしまいます。 
黒戸尾根、登るだけで下らない方法、他にいい案があればどうぞご伝授くださいませ m(__)m
nice!(57)  コメント(36)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。