神降地 (2015年2月) [北アルプス]
釜トンネル入り口 ~ 大正池ホテル ~ 田代池 ~ 田代橋 (往復)
やはりここは神の領域なのでしょう・・・
午前6時半。 沢渡の冬季無料駐車場。 タクシーは7時に予約してある。
夏、釜トンネルより先に一般車両は入ることはできないため沢渡でバスやタクシーに乗り換えて上高地に入る。
冬のこの時期になると釜トンネルより先に入れるのは工事車両のみ。 タクシーで送迎してもらえるのも釜トンネル前までとなる。
そろそろ準備をしようか。 車の外に出るとほぼ同時にタクシーがやってきた。 予約した会社のタクシーだ。
人のよさそうな運転手さんがおりてきて 「本当は6時希望だったと伺いましたので、少しでも早くと思いまして。」
『わぁ~ ありがとうございます。 すぐ準備しますので、少し待ってください。』
前日予約の電話を入れた際、「う~ん、オフシーズンの平日なのでどんなに早くても7時ですね。」
ということで7時予約でお願いしていたのだけど、運転手さん予約の時間より30分も早くきてくださったのでした。
急いでスパッツをつけ、厳冬期のレイヤリング。 フェイスマスク、ネックウオーマーにオーバーグローブ。
お湯を入れたテルモスは冬の必需品。。 あ、ヘッドライトもすぐ出せるようにしておかないと。
『お待たせしました。 よろしくお願いします。』
「駐車場で-15℃だったので山は-20℃くらいでしょうね。 今日はきっと霧氷が綺麗ですよ。」
帰りはバスで駐車場まで戻るつもりにしていることを運転手さんに伝える。
「わたし今日はこのあたりにいますので、もしバスを逃したら迎えにきますから、ここに電話してください。」
運転手さんの名刺をいただいた。 これでもしもの場合の足も確保できた。 ありがたい。
冬の上高地、夏とは全く違う場所に来たかのような静けさに包まれています。
人はおろか、夏あんなに走っているタクシーもこの時期は全く見当たりませんから。
午前7時、ヘッドライトを点けて真暗な釜トンネルを2人歩き始めた。
完璧な青空に白銀の穂高が現れる。 うわぁ。 すごい・・・ 身震いするほどの美しさだ。
気温-20~23℃
なにもかも時を止めて凍りついている。
いままでも-20℃前後の経験はあるけれど、この日の寒さはこれまでの経験値を越えた。
立ち止った途端、指先から固まっていくような感覚。
もちろん吐く息でまつ毛は凍るし、フェイスマスクなしで鼻から息を吸うと鼻の奥が冷気でくっついてしまう。
これぞまさに凍てつく寒さ。 山で初めてカイロを使用しました。
大正池から毛嵐が立ち上っています。
焼岳
ふだん私が写真を撮っているあいだは近くで待ってくれているパートナー。
「ゴメンとてもじっとしてられないから先に田代池に向かって歩いてるわ。」
よしころんカメラのファインダーに集中しているときは寒さを感じないのだけど、シャッターを押した途端強烈な寒さが襲ってくる。
「おぉぉ~~ 寒い~~~~。」 立ち止っては撮りを繰り返し、三脚を抱えながらやや小走り気味にパートナーを追いかける。
田代池
田代池に着くとパートナーと松本から来られたという2人の男性が待っていました。
「ナイスタイミイグで来たね~。 あと15分くらいで素晴らしい景色が見られるよ。」
『わぁ~ 楽しみです♪』
カメラをセッティングして待つこと約30分(笑)
「ほらすぐそこまで日差しが来たよ。」 木々の先端が宝石のようにキラキラと輝き始めました。
一体なんという美しさなのでしょう。 形容する言葉が見つかりません。 神々しいとはこういうことなのかもしれません。
山の神さま、ありがとうございます。
太陽の日差しとともに霧氷は少しずつ融け始めます。
霧氷がはらはらと舞い落ちているのが分かりますか。
コガラちゃんは朝食に忙しそう♪
4号はオバQ風(笑)
冬の上高地はまさに神降地なのだということを体感できた思い出深い山行となりました。